DXとは?

What’s DX?

DX(Digital Transformation)は、「DX推進ガイドライン」(2018年 経済産業省)において、以下のように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

DXの本来の目的は、「顧客視点で新たな価値を創出していくこと」です。
その目的を達成するためには、データやデジタル技術を使って、ビジネスモデルや企業文化などの変革に取り組むことが必要不可欠です。変革に取り組むには、はじめに経営者が自社の理念やパーパス(存在意義)を明確にした上で、実現したい未来=経営ビジョン(5年後・10年後にどんな会社になっていたいか)をしっかりと描き、その実現に向けて関係者を巻き込みながら、現在の状況と目指すべき状況の差を埋めるために解決すべき課題を整理し、デジタル技術を活用しながらこれらの課題解決を通じて、ビジネスモデルや組織・企業文化などの変革に戦略的に取り組んでいくことが求められます。

実現したい未来(ビジョン)に向けて、
デジタル技術などを活用し
GAP(差)を埋めていく

DX推進の考え方

ビジョンの実現に向けてどのように仕事の進め方を変革していくか?
デジタル技術をどのように活用していくか?
ビジネスモデルや組織・企業文化へどのように展開していくか?

なぜ今、DX?

Why DX Now?

あらゆる産業において、新たなデジタル技術を利用してこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者(デジタルディスラプター)が登場しています。大企業のみならず、町の商店や本屋・レコード屋などの生活に身近な商売においてもビジネス環境は大きく変化し、既存企業の優位性を揺るがしています。
企業はデジタル化によって、時間的・物理的な限界が取り払われたことにより、これまでのようにモノをつくって売る、役務を提供して対価を得るといったビジネスではなく、別の方法で価値や体験を届けていかなくては、デジタル化した世界で生き残れないという危機感を持っています。
生き残りをかけて市場の変化に対応し、ビジネスモデルを柔軟・迅速に変更していくことが求められる現在の状況においては、経営者が即断・即決することで新たな取組を行いやすい中堅・中小企業には大きなビジネスチャンスであると言えます。

身近に起きる
ビジネス環境の変化の例

CD・レコードはストリーミングサービスに、本はデジタルデバイスへと変化し、デジタル化がされています。

デジタル技術を活用した顧客視点での新しい価値創出の例として、大手インターネット通販サイトの台頭があります。このことにより、人々がインターネット経由でものを買うことが当たり前になりました。
今では、企業の規模を問わず多くの企業が参入し、EC(電子商取引)を活用することにより、実店舗などの対面のみではアプローチのできなかった遠隔地域の顧客と接点を持てるようになりました。
テクノロジーの進化や新型コロナウイルスによる大きな環境変化などにより、企業の事業環境や人々の生活は大きく変化しました。このように環境変化の大きい不確実な時代において、常に変化の波に乗りピンチをチャンスに変換し、新しい挑戦をし続けることがこれからの企業像といえます。

デジタル技術活用による
ビジネス拡大の可能性

デジタル技術により、さらなるビジネスチャンスの獲得や拡大につながります。

DXの進め方 -6STEP-

DX 6STEP

DXを進めるにあたっては、「目指す企業像」があるべきです。
DXの先に目指すビジョンを示すことから進めましょう。

1

企業のミッション・
ビジョン・バリューを示す

1.企業のミッション・ビジョン・バリューを書き出す

2.ビジョンは、5~10年後の未来像としてしっかりと描く

3.経営者がミッション・ビジョン・バリューを従業員に示す

2

理想と現状の
GAP(差)を把握する

1.ビジョンと比較して、現在の状況と問題を整理する

2.問題が起こっている背景・鍵となる要因を洗い出す

3.鍵となる要因に対して、有効な解決策を検討する

3

顧客目線での
価値創出をする

1.解決策を5~10年後のビジョンと照らし合わせる

2.ビジョン実現のために優先して取り組む解決策を選定する

3.何をどのように変革し、顧客にとってどのような価値を創出するかを整理する

4

変革に向けて
社内の意識を合わせる

1.経営者がなぜ変革するか、何をどのように変革するかを社内へ発信・宣言する

2.DXを推進するためのチームをつくる

3.全従業員にDX推進のマインドセット(基本的な考え方)を共有し、全社の協力体制をつくる

5

業務プロセス(工程)の
見直し

1.変革する業務のプロセスを詳細に書き出す

2.デジタル化することで新たな価値を生む可能性がある業務を選定する

3.DXを推進する(何を・いつまでに・どうするか)

6

DXを拡大する

1.DXを推進した結果、顧客に新たに提供できる価値がないか検討する

2.定期的にDX推進の活動を振り返り、気付きをノウハウとして蓄積する

3.組織全体でデジタル技術やデータ活用に関する知識・スキルを高める活動を行う

DXに大切なこと

Cornerstone of DX

経営者の
リーダーシップ

大企業に比べて経営判断のスピードが速い中小企業は、変革の取り組みを推進しやすい環境にあります。経営者が「なぜDXが必要なのか」「どこを目指すのか」について自らの言葉で語り、強いリーダーシップのもと、従業員全員が同じ想いをもち、一人ひとりが主体性をもって進めていくことが求められます。

身近で小さな
取り組みから始める

まずは、身近で難易度が低く、短期で成果が出せそうで取りかかりやすい小規模な施策から取り組みましょう。
(例:個別業務のデジタル化、既存データの活用)小さな成果をアピールしながら対象範囲を広げたり、大きな施策へと展開させたりしていくことが確実な進め方です。

デジタル人材を確保する

経営課題の解決や組織・ビジネスモデルの変革にデジタル技術を活用するにあたっては、経営や自社事業への理解はもちろん、デジタル技術に関する理解が必要となります。
外部のITコーディネーターなど専門家の支援を活用することはもちろん、社内にノウハウ・スキルを蓄積し、中長期的な目線で人材育成に取り組むことも重要です。

ビジネスモデルや
組織文化をも変革する

DXの目的は、顧客に対して新たな価値を提供することです。その実現のためには、「デジタルツール導入→時間削減」のみにとどめず、デジタル技術やデータ活用により、社会の変化や顧客のニーズに対応できるビジネスモデルに素早く変えるなど、変化に柔軟な組織文化であり続ける必要があります。

ビジョンの実現に向けて
取り組む

DXは、ビジョンの策定に始まり、現状把握、現場の巻き込みや、地道な業務プロセスの洗い出し、人材の確保など、長い時間とコストを投じた上での取り組みとなります。
「企業ビジョンの実現のための取り組み」という、企業の中心的な活動であると位置づけ、腰を据えて中長期的に取り組み続けていきましょう。

DXワークシート

DX Worksheet

DXの取り組みに向け、記入例を参考にワークシートを記載し、
自社の未来像を元に目標設定・状況整理してみましょう。